
男性は、高齢になるとしばしば尿が出にくくなったり、切れが悪くなったり、夜中に何度もトイレに起きるようになります。
これらの症状は前立腺肥大症によることが多く、軽度から中等度の前立腺肥大であれば、お薬で改善します。前立腺肥大症の代表的な治療薬はアルファ・ブロッカーと呼ばれ、肥大した前立腺や尿道の筋肉を緩めて尿が出やすくすることにより、自覚症状の改善を期待するものです。
ただし、お薬で完全に治すことは不可能なうえ、内服は長期間継続しなければなりません。
お薬を服用しても改善が不十分であったり、お薬の副作用で内服を継続できない患者さんでは、手術や導尿による治療を行います。
従来、前立腺肥大症に対する標準治療は経尿道的前立腺切除術(TURP)であり、現在も標準治療であることに間違いありません。経尿道的前立腺切除術(TURP)は、尿道から内視鏡を挿入し、電気メスで肥大した前立腺を切除するものです。
残念ながら、この方法では術中の出血があり、手術中に使用する灌流液によるTUR反応(希釈性低ナトリウム血症)が起こり得るため、身体への負担・侵襲が大きいことが問題となり、心臓や肺、脳に病気を抱える患者さんでは行いにくい手術方法とされます。またTURPでは、尿道にカテーテル(管)を術後4日間ほど留置する必要があり、患者さんの苦痛となりえます。カテーテル(管)を抜いたあとも、しばらく排尿痛、頻尿、血尿および一過性の尿失禁等が生じることがあります。入院期間は少なくとも1週間以上となります。
米国のLaserscope社が、KTPレーザーというレーザーを開発し、このレーザーを用いた前立腺肥大症に対するレーザー手術(PVP)が、欧米や韓国を中心に急速に普及し、日本でも2005年からPVPが行われてきました。
KTPレーザーは赤血球中の酸化ヘモグロビンという物質を選んで熱することで、組織を蒸発(蒸散)する性質を持っています。
血流の多い前立腺の肥大した部分に有効に働きかけることで、出血がほとんどなく、安全で効率よく手術を行うことが可能です。手術翌日から排尿が可能で、尿道の痛みもほとんどありません。ですが、KTPレーザーによるPVPは薬事未承認のため、60万円以上の自費診療でした。
PVPはこれまで自費診療であったため、日本では4施設でしか行えない特殊な手術法でした。2011年7月よりPVPが保険診療となり、他の術式と同じように安く手術が受けられるようになりました。今回、保険で認められたレーザーはLBOレーザーとよばれ、従来のKTPレーザーを改良したものです。海外では、PVPは安全で効果的な手術方法とされます。日本でもPVPは安全で効果的であることは多数報告され、とくに心臓や肺、脳血管に病気を抱えたハイリスク患者さんや、股関節手術後のため、砕石位(手術を行う姿勢)が不十分な患者さんでも手術が可能です。出血が少なく、カテーテル留置期間や入院期間が短く、比較的他の術式より早く排尿が改善されることから、患者さんに優しい、低侵襲手術といえます。
日本でPVPが保険適用となりました。この度、原三信病院 泌尿器科では、LBOレーザーを導入しました。その効果・安全性については、欧米を含め、諸外国において多くの施設の治療成績で証明されております。PVPの長所は、安全で、早くから排尿状態の改善が得られ、保険診療となったことで、他の術式と同じように安く手術が受けられることです。
内服の煩わしさから解放され、術後の痛み・出血に悩まされることなく、以前のような排尿状態を取り戻すことが可能なこの手術法を是非おすすめします。この新しい手術法であるPVP手術に興味がございましたら、当院泌尿器科医師までお気軽にお尋ねください。






