大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術

 従来の内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection ; EMR)はスネアをかけ病変を切除する手技であり,確実に一括切除可能な病変は2cm程度までに限られています.また粘膜下局注による病変の挙上が不良な場合や,内視鏡治療後の遺残,再発病変に対する一括切除は困難です.
 分割切除となれば,詳細な病理組織学的検索が困難な事も多く,根治度(治癒)の判定が不確実になる懸念があり,また局所の遺残,再発の頻度も増えるとされています.  
内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection ; ESD)は,腫瘍の局在や腫瘍径によらず,病変の一括切除が可能な優れた手技であり,早期胃癌に対し,開発,臨床応用され,2006年4月胃癌,2008年4月食道癌を対象に保険適応となっています.
 ESDは優れた内視鏡治療であり,最近では大腸腫瘍に対しても導入されつつあります.しかし大腸は胃や食道に比べて腸管の壁が薄く,大腸ESDは手技的難易度や穿孔率が高いことなどが課題とされ,いまだ保険収載はされていないのが現状です.その中平成21年6月厚生労働省により大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が先進医療として承認されました.
 当科では平成16年7月から21年6月までの期間に計121病変に対する大腸ESDを施行し,経験を積み重ねて参りました.その治療成績を基に平成21年8月厚生労働省より全国で2番目の実施医療機関として認可されました.
 大腸ESDを施行する病変の選択に関しては,原則として「大腸ESD標準化検討部会」で検討,提唱された適応基準に沿い行っていますが,病変の部位,内視鏡操作の良否,予測治療時間,ご年齢や併存疾患なども考慮し,多分割EMR,腹腔鏡下腸切除術の選択も含め総合的に判断しております.
※消化器科 診療の特色