がん診療のご案内
Cancer Oncology
放射線治療・ハイパーサーミアセンター 放射線治療とは
放射線治療とは
がんとは
正常な細胞の遺伝子(DNA)が何らかの原因で傷つくことによって、自分勝手に増殖したり、周囲に広がって身体のあちこちに転移し、転移先で新しいがん組織を作ったりする病気です。
がん治療
がんの治療法は、①手術、②化学療法(抗がん剤、ホルモン療法)、③放射線治療が三本柱とされています。当院では、これらに加え温熱療法(ハイパーサーミア)も行っております。
放射線治療とは
放射線治療の特徴
長 所
- 手術と違って体に対する負担が少ないので高齢者や手術ができないかたでも安全に治療が行えます。
- 臓器の機能や形態が温存できます。
- 身体中あらゆる場所に対して治療が可能です
短 所
- 身体の負担を少なくするため、治療期間が長くかかってしまいます。(2~8週間程度)
放射線治療の対象
根治治療(進行度によっては完治をめざせるがん)
頭頸部領域のがん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がん、悪性リンパ腫、食道がん、脳腫瘍(成人・小児)など
緩和治療(がんによる辛い症状を緩和するための治療)
転移性骨腫瘍、転移性脳腫瘍、がんが周囲の神経や血管を圧迫しておこす症状に対して
放射線治療の副作用
放射線治療にも副作用があります。副作用には放射線治療中または終了直後(急性期)と、終了してから半年から数年たった後(晩期)があります。急性期の副作用は、治療終了後、数日から数週間で収まることがほとんどなのであまり心配はいりませんが、晩期におこる副作用は難治性の場合が多いです。しかしながら近年の高精度治療を行うことにより発生頻度は従来に比べるとかなり低くなってきました。
- 1)急性期の副作用
- (1)全身的な副作用
- 疲れやすい
- 食欲がなくなる
- 貧血、白血球減少、血小板減
- 皮膚の変化
- (2)治療している部位におこる可能性のある副作用
- 頭部
- 頭痛、耳痛、めまい、脱毛、頭皮の発赤、吐き気、嘔吐などの症状が出ることがあります。
- 口腔、頸部
- 口腔、咽頭、喉頭の粘膜炎による飲み込みにくさ、飲み込む時の痛み、声がかれるといった症状が出る場合があります。その他に口が乾いたり、味覚がかわったりします。
- 肺、縦隔
- 食道が治療部位に入っていると、食道炎の症状である飲み込みにくさ、飲み込む時の痛みが出ることがあります。頻度は低いですが、放射線肺臓炎により咳、発熱、息切れが出ることもあります。
- 乳房、胸壁
- 日焼けのような皮膚炎の症状がでます。まれに食道炎による飲み込みにくさ、飲み込む時の痛みや、放射線肺臓炎による咳、発熱、息切れが出ることがあります。
- 腹部、骨盤
- 胃、腸が照射されることにより、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢といった症状が出ることがあります。
膀胱が照射されると膀胱炎症状である頻尿、排尿困難がみられることがあります。
- (1)全身的な副作用
- 2)晩期の副作用
- 頭部
- 脳や脳神経の障害により、難聴、顔面神経麻痺、脳障害、下垂体機能低下などをおこすことがあります。眼に照射された場合は、白内障、網膜症などがおこり視力障害が出ることがあります。
- 口腔、頸部
- 皮膚に潰瘍(かいよう)ができたり、皮下がかたくなったりします。唾液腺の機能が低下して口が渇くことがあります。味覚の異常もおこります。軟骨や下顎骨に炎症をおこし、手術が必要になる場合があります。躯幹・四肢の麻痺やしびれる脊髄症をおこすことが非常にまれにあります。
- 肺、縦隔
- 肺は線維化し機能が低下します。線維化した容積が大きいと呼吸が苦しくなります。食道が細くなり、食事の通りが悪くなることがあります。心臓の周りに液体がたまる心外膜炎がおこることがあります。液体の量が多ければ心臓の拡張を妨げ、心不全になることがあります。脊髄症をおこすこともあります。
- 乳房、胸壁
- 乳房がかたくなることがあります。肺に照射されると肺に線維化がおこります。手術をした後の腋窩(えきか:わきの下)に照射すると腕がむくむことがあります。上腕神経に障害をおこして、腕、手がしびれたり、力が入らなくなったりすることがあります。肋骨の骨折がおこりやすくなります。
- 腹部
- 直腸・結腸の内腔が狭くなったり、潰瘍ができ、出血したりすることがあります。膀胱壁がかたくなり、容量が小さくなることがあります。血尿が出ることもあります。リンパの流れや血液の流れが悪くなり、下肢がむくむことがあります。卵巣、睾丸に照射されると不妊になることがあります。肝臓や腎臓は照射されると機能が低下することがあります。
- 骨
- 骨折しやすくなる場合があります。
- 3)二次がんの発生放射線はがんを治す力ばかりではなく、がんをつくり出してしまう可能性があります。放射線が照射された部位からがんができる確率は、照射していない場合に比べて高いとされています。(しかし、放射線でがんを治す力は、二次がんをおこす危険をはるかに上回っていると言われています。)