がん診療のご案内
Cancer Oncology
放射線治療・ハイパーサーミアセンター ハイパーサーミアとは
ハイパーサーミアとは

温熱療法は、電磁波を使って病巣を温めることにより治療を行う方法です。がん組織は正常組織に比べて熱に弱いことが証明されており、41.5~44℃程度の温度で死滅します。これを利用した治療法がハイパーサーミアです。
がんは体の表面から深い臓器に至るまで、ほとんどの組織にできる病気です。高周波エネルギーを巧みに利用することによって所定の温度(41.5℃以上)に加温することができます。正常細胞は血管の動きによって放熱し、細胞は守られますが、がん細胞は血流不足なため、蓄熱しやすく高温が保たれ、死滅することになります。
温熱療法の適応外となる場合
- ペースメーカを入れている場合
- 肥満や皮下脂肪が厚い体型である場合
- 治療は背臥位・腹臥位・座位のいずれかで行い、この姿勢を60分保持出来ない場合
- 小児または妊婦である場合
- 体内に金属がある場合
- PS(※下記参照)が2以上
- 金属ステントが留置されている
- 刺青を入れている(熱傷の原因になります)
PS(パフォーマンスステータス)とは
全身状態の指標の一つで、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
- 0:まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
- 1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行う ことができる。例:軽い家事、事務作業
- 2:歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
- 3:限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
- 4:まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
ハイパーサーミアの併用療法
ハイパーサーミア併用療法は旧来から外科療法、放射線療法、化学療法が活用されてきました。近年、免疫療法との併用もエビデンスが示され始めています。
ハイパーサーミア併用療法の詳細
現在、ハイパーサーミアの併用療法の組み合わせは外科療法、放射線療法、化学療法および免疫療法があり、その効果は次のようになっています。
外科療法との併用
腫瘍が大きく周囲の重要な臓器に浸潤している手術困難な場合、腫瘍縮小の目的として術前治療としてハイパーサーミア+放射線療法+化学療法が適用されます。
放射線療法との併用
ハイパーサーミアが放射線治療によるがん組織のDNAの損傷からの回復を阻害します。さらに加温による温度上昇によりがん組織内の酸素分圧が高くなり放射線の治療効果が高まります。
化学療法との併用
ハイパーサーミアによる温度上昇が腫瘍細胞内に多くの薬剤を取り込み、抗腫瘍効果の増強が認められます。
免疫療法との併用 (現在、当院では免疫療法を実施していません)
ハイパーサーミアによる温度上昇が、がん細胞の抗原提示機構を増強し、樹状細胞やリンパ球が、がん抗原を認識しやすくなります。さらにリンパ球やNK細胞などの免疫担当細胞も増加します。
(株式会社 山本ビニター提供)