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がん診療のご案内

Cancer Oncology

腎細胞がん

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はじめに

腎臓は、尿を造る臓器です。
腎臓には、血液によって運ばれてきた体内の老廃物をこして、不要なものを尿として排泄 する働きがあります。その他、血圧をコントロールするホルモンや血圧の調節、ビタミン Dの活性化、造血ホルモンの生成などに関わっている臓器です。腎臓は、そら豆のような 形で長径10㎝程度の大きさをしています。重さはおおよそ130gで、副腎と共に脂肪 に包まれています。また、腎臓は左右に1つずつあり、右側の腎臓が左の腎臓に比べて低 い場所にあります。これは、右側の腎臓が肝臓のすぐ下にあるためです。

症状 腎臓がん≒腎細胞がん

腎細胞がんは、初期のころは無症状で、近年では健康診断や他の病気の精査中に偶然発見 される場合が増えています。腎細胞がんが進行した場合、昔から言われている症状として 、(肉眼的)血尿、側腹部痛、腹部腫瘤が現れることがあります。また骨転移による病的 骨折や痛み、肺転移による咳や血痰などの転移による症状で見つかる患者さんも少なく有りません。
がんが進行すると体重減少や発熱、食欲不振などの全身症状があらわれることもあります 。また進行にともない発熱、食欲不振、体重減少、貧血(時に多血症)、高カルシウム血 症などの多彩な全身症状を伴うこともあります。

がん診断(各種検査)

腹部超音波検査(エコー検査)

腹部領域の超音波検査(エコー検査)を行うのが一般的です。腎細胞がんがあれば、内部 構造が不均一な充実性腫瘤性病変として描出されることが多いです。腎細胞がんの多くは 血流が豊富であるため、血流を見ることができるカラードプラという機能をエコー検査に 併用すると、腎細胞がんの組織型の1つである淡明細胞がん※の診断の補助になります。
※腎細胞がんの種類の一つで、70%の確率で見られます。光顕的に細胞質が明る い腫瘍細胞として見えることが特徴です。

補足:エコー検査は患者さんへの負担が小さく、時間もさほどかかりません。腎細胞がん を疑った場合に限らず、早期発見が可能であるという点からスクリーニング検査としても 広く用いられている検査です。

CT検査(造影)

放射線を用いて体の断層写真が撮影できます。腎細胞がんの画像診断には腹部造影CT検 査が一般的に用いられます。アレルギーや腎機能障害などによって造影剤が使えない場合 や、CTで診断できなかった場合などはMRIで診断を行うこともあります。また、腎細 胞がんは肺に転移することが最も多く、胸部CTにて肺転移の検査を行います。

腹部MRI検査

放射線を使用せずに磁気を用いて任意の断面写真が得られます。内部の構造や細胞組成を 検査し、腎細胞癌の診断に役立ちます。また、造影CTが撮影できない場合は、代わりに 腎臓の大血管の位置や走行を確認することができます。

骨シンチ

骨に集積するアイソトープを用いて骨に転移がないか、検査する方法です。

腎細胞がんの病期分類(ステージ)

上記で『がん』と診断された場合、進行度(がんがどれくらい進行しているのかという)を確認していきます。

ステージ0(0期)
  • 原発腫瘍を認めない
ステージⅠ(1期)
  • 腫瘍の大きさが最大で7cm以下で腎臓に限局
ステージⅡ(2期)
  • 腫瘍の大きさが最大で7cm以上で腎臓に限局
ステージⅢ(3期)
  • 腎周囲組織に進展するが、同側の副腎への進展がなく、Georta筋膜をこえない腫瘍および/または1個の所属リンパ節転移あり
ステージⅣ(4期)
  • Georta筋膜をこえて浸潤する腫瘍、および/または2個以上の所属リンパ節転移あり/または遠隔転移あり
  • がんの大きさ(広がり)
  • リンパ節への転移の有無
  • 他の臓器への転移

・・・などで分類します。

治療法について

がんの治療を検討するときは臨床病期に沿った形で治療が選択されます。進行がんと早期 がんではがんの広がりが異なりますので、その都度、臨床病期と患者さんの全身状態を鑑 みて治療を決定します。
腎細胞がんに対する治療は、手術可能であれば、手術によって腫瘍を取り除くことが第一 選択となります。腎細胞がんの場合は、たとえ転移があっても原発巣を摘出するというこ とが、有効と考えられています。また、腎細胞がんは一般的な抗がん剤が効きにくく、が んの増殖に関わる特定の分子を標的にする分子標的治療が有効です。さらに、放射線療法 への感受性も低いため、最初の治療選択としてはあまり多く行われません。最近、新しい 免疫療法薬(免疫チェックポイント阻害薬)などが保険適応となり、注目されています。

手術療法

腎細胞がんは、一般的に化学療法や放射線療法に抵抗性を示すので、可能な限り手術による腫瘍の摘出を行います。

根治的腎摘除術

根治的腎摘出術では、腎臓全て、つまりGeorta筋膜、腎臓の周囲にある脂肪組織を 1つの塊として摘出します。腫瘍の部位や大きさによっては(腎臓の上にある)副腎を合 併切除することもあります。また、リンパ節や腎静脈、下大静脈などの主要静脈にまで進 展している場合も可能であれば、それらもできる限り切除を行います。現在は、腹腔鏡下 手術も普及しています。

腎部分切除術(腎機能温存手術)

腫瘍の範囲を特定し、腫瘍の周りを正常な腎臓組織も少し含めて切除することでがん細胞 を取り除くとともに残った腎臓機能を温存します。がんの治療成績は根治的腎摘除術と同 じです。腎臓の血流を一時的に遮断して、腫瘍を切除し、切除部を修復、縫合し、短時間 のうちに血流を再開する必要があり、高度な手術手技が必要です。開放手術、腹腔鏡手術 でも可能ですが、2017年4月からdaVinci(ダビンチ)というロボット支援手 術が保険で認められ、当院でも行っています。

ロボット支援手術 (daVinciダビンチ)

ダピンチ画像

ダビンチは従来の腹腔鏡手術と同じようにいくつかの小さな切開部から、手術操作を行う 器械を入れ、外科医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子などを動かして手術を行う内視鏡 手術支援ロボットです。
ダビンチは、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの画像を見ながら、人間の手の 動きか、それ以上の繊細で正確な操作ができる装置です。こうした特長により、正確な切 除、適切な縫合を行うことができ、腎部部分切除術においても阻血時間の短縮や腎機能温 存ができ、低侵襲な手術が可能となりました。

放射線治療について

腎細胞がんへの放射線治療は有用性が低いとされております。脳や骨に転移がある場合、 がんの進行を抑えたり、痛みを和らげたりするために行うことがあります。

薬物療法

腎細胞がんの薬物療法には、分子標的治療、免疫療法があります。

分子標的治療

腎細胞がんの増殖や進展に関与する分子を標的とし、その作用を阻害することで効果を発 揮します。現在、スニチニブ(商品名:スーテント)、ソラフェニブ(商品名:ネクサバ ール)、アキシチニブ(商品名:インライタ)、パゾパニブ(商品名:ヴォトリエント) 、エベロリムス(商品名:アフィニトール)、テムシロリムス(商品名:トーリセル)が あり、当院でも使用可能です。

免疫療法

サイトカイン療法

免疫細胞が産生するタンパク質のインターフェロン(IFN)などを投与し免疫細胞を活 性化することで、悪性腫瘍や一部のウイルスなどの治療を行う免疫療法のひとつです。

免疫抑制阻害療法(免疫チェックポイント阻害剤)

免疫とは、体内に侵入した病原菌やがん細胞のように体内に新しく発生した異物を排除す る仕組みです。一方で、自分自身の正常細胞は免疫の攻撃を受けないような仕組みがあり ます。成長したがん細胞は、このシステムを乗っ取り、自分たちを攻撃する免疫反応にブ レーキをかけていることが知られています。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が かけたブレーキを解除し、免疫反応を持続させる薬剤です。2018年8月には、危険因 子を持つ転移性腎細胞がんの新しい治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイ ピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が保険で認められました。当院でも実施可能です。