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原三信病院婦人科便り Part39

原三信病院婦人科便り Part39 不妊症③

原三信病院 婦人科 片岡 惠子

明けましておめでとうございますー

コロナが身近に迫ってきている感がありますね。
今まで自由に出来ていたことが急に出来なくなったり、制限されたり、と不自由を囲っていますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

これを書いている今、お外は猛吹雪です・・・

雪国にお住まいの方々からは鼻で笑われちゃう程度でしょうけど、福岡、雪には弱いぜ~
朝、最後の頼みの綱、市営地下鉄でここ原三信病院まで来たんですが、呉服町の三番出口から病院まで約200メートル、ずるっと滑った人が少なくとも5人はいたよ。

でも外来もやっぱり患者さんがいっぱい・・・

さーて
今回は体外受精について、です。

前回は人工授精を合同ハイキングに例えましたが、体外受精、それは

婚活パーティ

に、他ならない。

女性と男性を同じお部屋に入れておいて、あとは若いお二人にお任せ、的な。

精子と違って卵子は体の外に連れてくるのが大変。
医師、看護師、培養士、御本人に夫(精子提供者)のスケジュールを詰め、合わせておくのもさりながら、御本人の卵巣にできるだけたくさんの卵胞(卵子を含んだ嚢胞)が、いざ採卵する時、「排卵をまだしていない状態で」待機していないといけません。

卵子にとって「お外の世界」は過酷なので、連れ出されるだけでも本当はストレスなんですね。
なのでたくさん候補はいても、途中で命がなくなってしまう卵子もいるわけで、

数打ちゃ当たる

を目ざし、できるだけ数を稼ぐべく、排卵誘発剤を使って卵巣にできるだけたくさんの卵胞を大きくするように仕向けます。
よってこのときに排卵誘発剤を使うわけです。
一般的には注射剤の方が効き目が強く、一度に成熟する卵胞の数も多くなるので注射を用いることが多いです。年齢にもよりますが。

卵胞の大きさが直径20ミリ程度になったところで採卵します。
腟から超音波検査をしながら針で卵巣を刺していく、という字面にするとかなり怖い外科的な処置をしないといけません。(・・・男っていいよな~精子採取するのに痛くないモンね。)
それぞれの施設にもよりますが、局所麻酔なのか全身麻酔なのかは相談、てところが多いみたいです。あまりにももぞもぞ動かれると取れる卵も取れないので、ちょっとした衝撃にも弱い女子は全身麻酔もしくは静脈麻酔を頼んだ方がいいかもしれない。しかし、お値段それなりに加算。

無事、卵ちゃんが採取できたら、ご主人の(あーくーまーで、ご主人の)精子と同じお皿に入れて、しばらく待って、合体したらどれくらい育つのか見て、また子宮に戻す日を決めたり、受精卵を凍結していったり、します。

最近は一旦凍結した卵ちゃんを貯金しておいて、子宮内膜の状態を別の周期に整えてから卵を戻す、凍結融解胚移植が主流で、採卵してすぐ子宮に戻すより妊娠率がいいみたいですよ。そこらへんは主治医の先生と相談しながら治療をします。

・・・とまあ、ざっと体外受精の流れについて書き散らしてきたわけですが

体外受精はね。キツイよ。しんどいし、辛いと思う。

第一、 お金がかかります。目玉が飛び出るかっていうくらい、高い。
一時期、不妊クリニックでアルバイトをしていたこともあるんですが、ボーナスの時期に皆さん、札束を握りしめて治療に来てたなあ・・・
一周期、つまり生理が始まって、注射して卵胞を育てて、採卵して受精させて凍結、までが一般的に60万位。胚移植に10万から15万くらいかかります。
皆さん、かわいい赤ちゃんに会いたい一心でがんばってお金を払って一所懸命通院しているのに、若くないから、とかいたらんことを主治医に言われたり、見かける赤ちゃんの声に泣けてきたり、事情を知らない親戚のおばちゃんから「まだ子供産まないの、これだから最近の若い人は」ってもう、いろんなハラスメントがごっちゃになったバズーカを打ち込まれたり、するんだ。

かつて、それを励まし、励まし一緒に走っていたこともあるんですが

御本人たちの辛い全部のシーンで颯爽と正義の味方で駆けつけてあげられない。
かばってあげられないし、代わってあげられない。
精子出すだけなのにぶうぶう言うご主人に後ろから忍び寄ってハリセンチョップをかますこともできない(犯罪だけど)。

そしてがんばった先に元気でかわいい赤ちゃんを抱いておうちに帰る

といった幸せな結末が、全員にご褒美として待っていればいいんだけど、必ずしもそうじゃない、というまるで詐欺みたいな高度生殖医療ですので、矛盾しているようですけど

引き際

は、二人でちゃんと考えて臨むことをお勧めします。
3回まで、とかね。
おおよそ、不妊治療はその方法が間違っていなければ5回くらいまでで妊娠します。

で、卵子の年齢はどうあがいても若返りはしないので
年齢が40歳なら卵巣も40歳なの。
最近は皆さん美しく装っておられて、え、40歳なの?驚愕~、の美人が多いけど、そんな美人もやっぱり卵巣は40歳。卵巣用の化粧品もパックもないの。

よって、ご主人と二人でずっと仲良く暮らせるか?

ってことも、人生の延長上にきちんと考えて人生設計を組んだ方がいいと思います。

外来に来てくださった、赤ちゃん希望の皆さんに必ず言うんですけど

子供が授かろうが、授からないでいようが
がんばった人生には必ず花が咲きます。
その花の色が違うだけです。
そして花は皆、それぞれに美しい。
思った色が咲かなくても、美しいことに変わりはないのです。

ちょっとしんみりしちゃったね

長くなったので、一旦終了。
次回は顕微受精の解説からお届けします。