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がん診療のご案内

Cancer Oncology

膀胱がん

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はじめに

膀胱や尿管、腎盂の内腔は尿路上皮という細胞で覆われています。この尿路上皮から発生 したがんが尿路上皮がん(腎盂がん、尿管がん、膀胱がん)です。好発年齢は50歳以上 で、特に高齢者に多く、社会の高齢化に伴い患者数は増加しています。男女比では男性に 多く、女性の約3倍多いといわれています。また、たばこを吸う方には2~4倍多くでき るといわれています。

症状

最も一般的な症状は、肉眼的血尿(赤色、茶褐色など)です。また、頻繁に尿意を感じる (頻尿)、排尿するときに痛みがあるなど膀胱炎のような症状を来すこともあります。ま た、膀胱がんによって尿管が閉塞することで生じる、水腎症で発見されることもあります 。がんと診断された場合は、早期に治療を開始することが肝要です。

※眼で確認できる血尿を肉眼的血尿といい、顕微鏡を用いた検査ではじめて確認できる 程度の血尿を顕微鏡的血尿といいます。

がん診断(各種検査)

尿検査(尿細胞診検査)

一見きれいな尿でも顕微鏡で観察すると血尿ということもあります。また、尿の中にがん 細胞が混じっていることもあり、尿細胞診検査がきっかけで膀胱がんが発見される場合も あります。

超音波検査(腹部エコー)

超音波検査は膀胱がんのスクリーニング検査として有用です。特に尿がたまった状態で検 査を行えば膀胱の内部の状態が観察でき、膀胱がんが発見しやすくなります。また、腎臓 のエコーにより、水腎症が発見されることがあります。

膀胱内視鏡検査(ファイバースコープ)

膀胱の中を内視鏡で観察します。膀胱がんの診断には最も大切な検査です。尿の出口(尿 道口)から柔らかく細い内視鏡(軟性膀胱鏡)を挿入します。

レントゲン検査(造影剤)

尿路(腎盂、尿管、膀胱)を明瞭に映すために造影剤を点滴しながら経時的に写真を撮り ます。尿管の走行や・膀胱内の病変部の大きさ膀胱内のがんの大きさや水腎症がわかりま す。

CT検査

体の断層写真がえられます。他の臓器への遠隔転移の有無、リンパ節転移の診断、周辺臓 器への広がりがどの程度かを診断する場合に有用です。膀胱がんがどのくらい深く広がっ ているか(深達度)やリンパ節転移の有無の診断に有用です。

腹部MRI検査

放射線を使用せずに磁気をもちいて任意の断面写真が得られます。CT検査と同様ですが 、深達度(筋層)浸潤がんの判断に有用です。

RI検査(骨シンチ)

膀胱がんの転移先のうち、約4分の1が骨への転移といわれています。病変のある骨に集 まる性質を持つ放射性物質(体内にほとんど害がないもの)を静脈に注射し、3~4時間 後に特殊なカメラで撮影して画像にします。全身の骨を観察することができ、撮影時間は 20分ほどで終了します。

膀胱がんの病期分類(ステージ)

膀胱がんと診断された場合、ステージは腫瘍、リンパ節、臓器への転移がないかを分類す るTNM分類によりステージが決まることになります。

ステージ0(0期)
  • 膀胱がんを認めない。
ステージⅠ(1期)
  • 上皮下結合組織に浸潤する腫瘍
ステージⅡ(2期)
  • 固有筋層に浸潤する腫瘍
ステージⅢ(3期)
  • 膀胱周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍
ステージⅣ(4期)
  • 前立腺間質、精嚢、子宮または膣、骨盤壁、腹壁に浸潤する腫瘍

膀胱がんステージ

  • がんの大きさや膀胱粘膜の浸潤
  • リンパ節への転移の有無
  • 他の臓器への転移

・・・などで分類します。

治療法について

膀胱がんの治療法は、進行度などによって変わります。手術療法、薬物療法(BCG注入 療法、化学療法など)、放射線療法などに大別でき、また併用して行うこともあります。

手術療法

膀胱がんの手術は、大きく分けて2つあります。 ひとつは尿道から膀胱鏡(内視鏡)を 入れ、膀胱内のがんを取り除く「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」、もうひとつ は膀胱をすべて取り除く「膀胱全摘除術」です。膀胱がんが筋肉の層まで広がっているも の(筋層浸潤性、T2以上)は、経尿道手術では根治できず、膀胱全摘が標準治療となり ます。膀胱全摘すると別途尿の出口を作る必要があり、小腸で体外に尿をだす回腸導管、 小腸で代用膀胱を作成し、尿道から排尿する新膀胱、尿管を皮膚にだす尿管皮膚瘻などが あります。

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

麻酔下に尿道から切除用膀胱鏡を挿入し先端の電気メスでがんを切り取ります。粘膜内の 深さが比較的浅い筋層非浸潤性膀胱がんに対してはTURBTにて、完全切除を目的にし て手術を行います。筋層浸潤性膀胱がんに対しては、がん組織の確認や深達度の確認のた め行います。

膀胱全摘除術

膀胱全摘除術は、膀胱がんをすべてとりのぞくために、膀胱をすべて摘除する手術です。 開腹による手術と腹腔鏡による手術があります。 膀胱の壁(筋層)や隣接する臓器にま でがんが浸潤して(広がって)いる場合は、臓器の一部を一緒にとりのぞくこともあります。

ロボット支援手術 (daVinciダビンチ)

ダピンチ画像

ダビンチは従来の腹腔鏡手術と同じようにいくつかの小さな切開部から、手術操作を行う 器械を入れ、外科医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子などを動かして手術を行う内視鏡 手術支援ロボットです。
ダビンチは、高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの画像を見ながら、人間の手の 動きか、それ以上の繊細で正確な操作ができる装置です。ロボット支援膀胱全摘除術は腹 腔鏡手術をさらに発展させた方法で、傷が小さく痛みが少ないこと、出血が少ないことよ り低侵襲な手術です。2018年4月から保険適応となりました。

放射線治療について

筋層浸潤性膀胱がんに対し、膀胱全摘を希望されない患者さんや、合併症などにより膀胱 全摘が行えない患者さんに対して、放射線治療を行います。脳や骨に転移がある場合、が んの進行を抑えたり、痛みを和らげたりするために行うこともあります。

薬物療法

膀胱などに広がったがん細胞に効果を示すことが期待される治療法です。どの薬剤を用い て治療を行うのかは、膀胱がんの組織型、病期(進行の程度)、患者さんの全身状態や年 齢が考慮されます。
膀胱がんの薬物治療には、「膀胱内注入療法」と「全身薬物療法」があります。

膀胱内注入療法(膀注療法)

膀胱の中に抗がん剤やBCG(ウシに感染する結核菌の毒性を弱めたワクチン)などの薬 を入れ、一定時間排尿をがまんして膀胱内にとどめ治療します。
「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」後、きちんと切除されていても、約半数の方 に、膀胱内再発が起こります。再発を予防するために、抗がん剤やBCGを膀胱内に注入 します。また、膀胱の上皮内がんに対しては、BCG膀注が標準治療で、約70%の方に効果があります。

全身薬物療法

「全身薬物療法」は、内服や点滴により薬剤を投与し、がんの増殖を抑えます。膀胱がん の薬物療法は、作用の違いにより「化学療法」、「免疫チェックポイント阻害薬」による 治療の2つに分けられます。

  1. 化学療法
    抗がん剤を使ってがん細胞が増えるのを抑える治療法です。転移のある場合には治療目的 で行います。また、膀胱全摘除術や放射線治療の効果を高めるため、補助的に抗がん剤治 療を行うこともあります。
  2. 免疫チェックポイント阻害薬
    免疫とは、体内に侵入した病原菌やがん細胞のように体内に新しく発生した異物を排除す る仕組みです。一方で、自分自身の正常細胞は免疫の攻撃を受けないような仕組みがあり ます。成長したがん細胞は、このシステムを乗っ取り、自分たちを攻撃する免疫反応にブ レーキをかけていることが知られています。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が かけたブレーキを解除し、がん細胞に対する免疫反応を持続させる薬剤です。