医療法人 原三信病院
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変形性膝関節症

概要

膝関節の内部は内外側の大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節の3つの関節でできています。
関節は骨の表面を覆う関節軟骨、クッションとなる半月板、前後十字靱帯、関節包、関節包を裏打する滑膜でできています。関節軟骨や半月板はゴムが劣化するのと同じように歳をとるにつれて劣化や摩耗が起こります。関節軟骨がすり減ったり、半月板がささくれたりして骨が変形してくる病気が変形性膝関節症で、軟骨や半月板が摩耗した部分に体重がかかる時に痛みを生じ日常生活に支障を来します。軟骨や半月板には血が通っていない為、傷んだら自然に修復されません。

原因・症状

変形性膝関節症の原因は、加齢や肥満、関節の過度の負荷、外傷、関節リウマチなどが挙げられます。また、女性や遺伝的要因によっても発症することがあります。症状としては、膝の痛みや違和感、関節の腫れや熱感、歩行時の不安定感や転倒などが現れます。痛みは、長時間立っていると悪化することが多く、夜間にも痛みが増すことがあります。

検査

膝のレントゲン検査やMRI検査が行われます。
■X線検査:膝関節の変形や骨の隆起、軟骨のすり減り具合などを確認することができます。
■MRI検査:膝関節周辺の筋肉や靭帯、軟骨や半月板の状態を詳しく調べることができます。

治療

■保存的治療:治療法は軟骨のすり減り、骨の変形、痛みや日常生活の制限の程度により異なります。初期で軽症の場合は関節の炎症をとって痛みを和らげる消炎鎮痛剤の内服、膝周囲筋力強化、ヒアルロン酸の関節内注射、足底装具(靴の中敷)などが効果的です。よく“膝に水がたまる”といいますが、すり減りやささくれで生じたゴミが滑膜の炎症を引き起こして関節液が多量に産生されるためです。水がたまると潤滑作用が下がるため悪循環となりますのでヒアルロン酸注射の時に同時に水をぬく事があります。
■外科的治療(手術):上記の治療で効果がない場合は手術をすることがあります。
関節鏡:骨や軟骨の変形が少なく膝の引っかかり感などが主な症状の場合、半月板の症状が主と考えられ、関節鏡手術を行います。下半身麻酔で膝の前面に1cm弱の小さな穴を2ヶ所作り、内視鏡で中を観察し悪いところをパンチなどを使って掃除する手術です。 通常は約1週間の入院が必要となります。手術の傷が小さいので翌日から歩行できます。
■リハビリテーション:リハビリテーションを受ける必要があります。リハビリテーションの目的は、患部の強化、関節可動域の回復、筋肉の柔軟性を改善し、機能回復を促進することです。

矯正骨切り術

関節軟骨のすり減りや骨の変形がひどい場合は、変形の予防と痛みをとる為にO脚をX脚に矯正する手術を行います。
同じく下半身麻酔で、関節鏡で関節の掃除をした後、脛骨(すねの骨)に創外固定器を装着し3cm位の切開で骨に切れ目を入れて手術は終わりです。手術後はすぐに歩行、曲げ伸ばしができます。毎日少しずつ切れ目を開いて徐々にO脚を矯正していき、丁度いい所で止めて隙間に骨ができるまで待ちます。骨ができたら創外固定器をはずします。入院期間は矯正が終了するまでで1ヶ月、創外固定器をはずすまでで約2ヶ月半です。自分の関節が温存されるという利点があります。

人工関節置換術

関節軟骨がほとんど無くなり骨が露出して変形が強い場合は人工膝関節置換術を行います。
下半身麻酔で膝前面を縦に約15cm切開し変形した骨・軟骨をきりとり、金属と特殊なポリエチレンの関節に置き換える手術です。虫歯に金属のかぶせものをするようなイメージで痛みの元を除去して安定した関節になるので除痛効果は確実です。もちろんO脚も矯正されます。この手術は70歳~80歳の方に多く行っています。入院期間は約1ヶ月~1ヶ月半で術後2日目から歩く練習や膝の曲げ伸ばしの訓練をします。手術後にある程度の出血が予想される為あらかじめ自分の血液(自己血)を貯めておいて手術後に戻すようにしています。大変な手術と思われがちですが、意外に思った程ではなく、早くしておけばよかったと満足される方が多い手術です。