医療法人 原三信病院
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大腿骨近位部骨折

概要

大腿骨近位部骨折とは、大腿骨の上部近位部分が骨折することです。骨折部位により頸部骨折(内側骨折)と転子部骨折(外側骨折)とにわかれます。

原因・症状

大腿骨近位部骨折の主な原因は、高齢化や骨粗しょう症による骨の弱化です。転倒や交通事故、スポーツなどの外力がかかることでも起こり得ます。
症状としては、激しい痛みや腫れ、内出血、下肢の短縮・外旋などがあります。また、立てなくなるなど、生活に支障をきたすことがあります。

検査

■X線検査:大腿骨近位部の骨折の程度を確認するために、X線検査が行われます。この検査により、骨の折れ具合や位置、骨片の有無などを確認することができます。
■CT検査:X線検査ではわからない詳細な情報を得るために、CT検査が行われることもあります。この検査により、骨折部位の詳細な形状や、周囲の組織の状態を確認することができます。
■MRI検査:大腿骨近位部の骨折にともなって、軟部組織にも損傷が生じることがあります。そのため、MRI検査によって、軟部組織の損傷の有無や程度を確認することができます。

治療

■保存的治療:骨折が比較的軽度で、骨の位置が安定している場合には、保存療法が行われます。この治療法では、固定具(例えば、外固定器、内固定器、軟膏包帯)を用いて骨折部位を固定し、自然治癒を促します。この治療法は、手術に比べて合併症のリスクが低く、短期間での入院期間が可能です。
■外科的治療(手術):重度の骨折や、骨の位置が不安定な場合には、手術療法が必要となります。手術療法では、骨折部位を固定するためのプレートやネジを用いて、骨を正しい位置に固定します。手術療法は、保存療法よりも合併症のリスクが高く、入院期間も長くなりますが、正確な骨折部位の再構築が可能であり、より安定した回復が期待できます。
■リハビリテーション:骨折が治癒しても、筋力低下や関節可動域の制限が残ることがあります。そのため、リハビリテーションによって、筋力や関節可動域を回復させることが必要です。リハビリテーションには、運動療法や物理療法などが含まれます。これにより、骨折の影響による機能障害を改善し、生活の質を向上させることができます。

手術療法

骨接合術(DHS、ɤーNail、ハンソンピン)

骨折部を整復した状態で金属を用いて固定します。固定材料には様々な種類があり、骨折の形態により選択します。
短時間ですみ、出血は少量です。多くの場合、翌日から離床を開始します。

人工骨頭置換術

内側骨折で転位(骨折部のずれ)が大きい場合は、骨頭を温存することができないので、人工物に換える手術を行います。
骨接合術に比べ手術時間は長くなり、出血量も多くなります。多くの場合、2日後から離床を開始します