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原三信病院婦人科便り Part46
原三信病院婦人科便り Part46~子宮鏡手術 ①
原三信病院 婦人科 片岡 惠子
さて、気を取り直して。
実はみなさん、病気はコロナばっかりじゃないのですー
不要不急という言葉が流行語大賞だとわたしは勝手に思ってはおるのですが、不要不急だろうが病気は病気、なのを取り扱うのが原三信病院婦人科だ。
白血病をはじめとする、何もしなければ数ヶ月で死ぬよ、的な病気は産婦人科にはごく少ないのですが、それでも生理が多すぎたり生理のたびに壁を叩きすぎて穴が開いたり、することだってご本人にとっては重要案件。
知り合いの整形外科の先生は
「お年寄りが専門なのにさー、おばあちゃん、おじいちゃんが外に出なくなっちゃって、もう閑古鳥鳴いてるよね、かあかあ」
とぼやいていた。
自分の身に引き比べ、コロナ最前線の戦士たち、特に呼吸器内科、感染症内科の先生たちには土下座もんだ。とても目を見てお話できないよお手伝いしますごめんなさい。
しかし、みなさんコロナばかりが病気ではない、とお気づきなのか、婦人科はおかげさまでとても忙しくしています。お若い世代が患者さんの中心だからね~。とりあえずお外に出てくるよね。
で、腹三振(原三信病院のパソコンなのに、変換するとこちらが先に出てくるの。どうしたもんだか)、もとい原三信病院婦人科のお家芸の一つに
子宮鏡手術
というのがある。
要するに、大腸に大腸カメラが、胃に胃カメラがあるように、子宮も子宮カメラで覗いちゃえというものでありますが、思ったよりいろいろ利点があります。
① 小さい筋腫や柔らかいポリープ(子宮内膜ポリープ)は、お腹に傷をつけずに手術できてしまう
② 入院期間がぐっと短い。
③ あんまり痛くない。
小さい筋腫ってどれくらい?と聞かれますが、大体3センチまで。
妊娠していない、いたって普通の子宮って、MSサイズの卵1個くらいの大きさなので、それに3センチの筋腫ってちょっとでかいよ、奥さん。
そして子宮の中に大体80%くらいは飛び出ているものでないと、ちょっと難しくなる。
比較的慣れてくると60%くらいはいけちゃうんじゃないかと錯覚もしてきますが、子宮鏡手術を希望する患者さんは、たいていの場合、赤ちゃん待ち、赤ちゃん希望、の人が多いので、無理はしない。手術中に子宮に穴が開いたら向こう側は腸管(つまり、お腹のなか)だよ?怖くはないか?・・・わたしは怖い。
たま~におじさんたちの集まりで(つまり、日本産科婦人科内視鏡学会だけどさ)ぼくはこ~んなでっかい、こ~んな難しい子宮筋腫を子宮鏡手術で摘出できちゃいました(はあと)のようないたらん報告が散見されるが、他人の体で自分の限界に挑戦するのはいかがなものか。がーすーのことがあまり好きではないが、やはり安心、安全がすべてにおいて優先されるのです。
一方、ポリープは柔らかいシロモノなので割と簡単に摘出できます。
で、私が子宮鏡手術のことが大好きな理由は
① 短時間で済み、効果が劇的。
② 入院期間が短くて、合併症が少ない。
③ よって患者さんが喜ぶ。私もうれしい。お金も儲かる
そう、ローリスクハイリターンとはこのこと・・・!
私の作成した子宮鏡手術の同意書には、この手術を受ける人は死ぬ、みたいな怖いことがいっぱい書いてあるが、たいてい何も怖いことは起きない。こんなに患者さんを脅して怖がらせて同意書にサインをさせるって、どうなの?っていうくらい、何も起きやしないが、起きたときに「わしゃ知らんがな」が一番人間を怒らせるからなあ、というその一点のみでホラーな仕上がりになっている。でも安心してください、大丈夫ですよ
よってたいていの人には子宮鏡を勧めたいところなのですが、悔しいことに、こりゃ無理ですな~、の人もいる。次回はそこらへんを詳しく解説したいと思います。