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経腟的腹腔鏡手術(vNOTES)~お腹に傷がつかない手術~

vNOTES(ブイノーツ)とは

vNOTESは "Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery" の略称で、 日本語では「経腟的腹腔鏡手術」と呼ばれます。海外では、2012年ごろより当術式が始まり、日本では2020年頃に専用の機器が保険適用として承認・導入が開始されました。当科では2025年より当術式を開始し、実績を積んでいます。

📄 婦人科手術実績

腟を「自然の入口」として使う手術

従来の腹腔鏡手術ではお腹に数か所の切開(ポート)を設けて器具を挿入しますが、vNOTESでは腟という体に元々あいている自然孔を経由して内視鏡カメラと手術器具を挿入します。
腟壁に小さな切開を加えて腹腔内に到達し、内視鏡下で子宮や卵巣の手術を行います。手術後は腟壁の縫合のみで完了するため、お腹の表面に一切傷ができません。患者さんの身体的負担と表面の傷による精神的ストレスの軽減を目指し、積極的に当術式を取り入れていければと考えております。

GelPOINT V-Path トランスヴァジナルアクセスプラットフォーム
(Applied Medical Japan株式会社製)
vNOTES(経腟的内視鏡下手術)の専用アクセスデバイスです。狭く制限された術野(腟)でも、お腹を開ける通常の腹腔鏡手術とまったく同じように、安全かつ自由に器具を操作させることができるように設計されています。
vNOTESにおける腹腔鏡下手術用器具のアクセス
腟の最奥部を切開し、そこにGelPOINT V-Path トランスヴァジナルアクセスプラットフォームを設置します。
設置後、炭酸ガスを送気して骨盤腔・腹腔内を膨らませて空間を作ります。その後機器の穴からカメラ(高画質内視鏡)や腹腔鏡手術用の器具(鉗子、電気メス、持針器など)を同時に挿入します。

従来の術式との比較

婦人科の手術には主に「開腹手術」「ロボット支援手術」「腹腔鏡手術」「vNOTES」「膣式手術」などがあります。 各術式の特徴は表で比較できます。
なお、患者さんの症状・病状(強い癒着や解剖学的要因など)によっては、ご希望の術式が適応とならない場合があります。担当医と相談しながら最適な術式を検討します。
比較項目 開腹手術

ロボット支援手術
腹腔鏡手術

vNOTES(※2・3)
お腹の切開 あり(10〜15cm程度) あり(0.5〜1.2cm × 3〜5か所) なし
体表の傷跡 あり 小さい なし(お腹を切らない)
術後疼痛 比較的強い 痛みが抑えられる傾向 さらに痛みが抑えられる傾向
平均入院期間(※1) 7〜10日程度 5〜7日程度 5日程度
社会復帰の目安(※1) 4〜6週間 2〜3週間 1〜2週間程度
全身麻酔 必要 必要 必要
保険適用 適用 適用 適用(※4)

※1:入院日数・社会復帰期間は目安であり、個人の症状や経過により異なります。

※2:vNOTESの保険適用は術式・疾患によって条件が異なります。詳細は外来にてご確認ください。

※3: 術中の状況により腹腔鏡手術や開腹手術へ移行する可能性があります。

※4: 保険適用手術の場合、高額療養費制度をご利用いただくことで自己負担額を抑えることが可能です。
   自由診療(自費)となる場合の費用については事前にお問い合わせください。

 

POINT 01

体表に傷が残らない

腟からアプローチするため、お腹を切開する必要がありません。手術痕が体表に残らないため、傷跡を気にされる方に適した術式です。

 

POINT 02

術後疼痛の軽減

腹壁を切開しないため、従来の開腹手術等と比較して術後の痛みが抑えられます。鎮痛剤の使用量や、術後の身体的負担を抑えることが期待できます。

 

POINT 03

早期の社会復帰

一般的な入院期間は5日程度、社会復帰の目安は1〜2週間程度です。お仕事や家事への影響を考慮し、短期間での日常生活への復帰を目指せます。

経膣内視鏡手術(vNOTES)に関する留意事項

主なリスク・副作用

経腟アプローチ特有の骨盤内感染、出血、近接臓器(膀胱・直腸・尿管など)の損傷、皮下気腫等のリスクがあります。また、癒着の程度や手術の進行状況によって、途中で腹腔鏡手術や開腹手術へ移行する場合があります。

治療期間・回数

事前の検査・診断を経て手術と入院、術後の経過観察外来が数回必要となります。

費用について

保険適用となる疾患の場合、高額療養費制度が利用できます。自費診療での費用は、事前にお問い合わせください。

vNOTES(ブイノーツ)に関するQ&A

内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、診療方針を保証するものではありません。治療効果・経過には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるものではありません。
患者さんお一人おひとりのご病状や状態に応じて担当医がご提案いたします。詳しくは外来でご相談ください。

vNOTESについて

Q. vNOTESとはどのような手術ですか?
A.

vNOTESは「経腟的内視鏡手術(vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)」の略称で、腟(ちつ)から内視鏡(カメラ)と手術器具を入れて行う手術方法です。お腹に切開を加えずに子宮や卵巣の手術を行うことを目的としています。

比較的新しい術式であり、長期成績については今後の検討課題もあるため、患者さまお一人おひとりに十分にご説明したうえで実施いたします。

Q. 従来の腹腔鏡手術との違いはなんですか?
A.

通常の腹腔鏡手術ではお腹に数か所の小さな切開を加えて器具を挿入しますが、vNOTESでは腟からアプローチするため、お腹に手術創を作らずに行う点が異なります。

どの術式が適しているかは、ご病気の種類・大きさ・既往歴などにより異なります。診察のうえで最適な方法をご提案いたします。

Q. どのような病気が対象になりますか?
A.

主に良性疾患が対象となります。代表的な対象疾患は以下のとおりです。

  • 子宮筋腫
  • 卵巣のう腫(良性の卵巣腫瘍)
  • 子宮全摘術が必要な良性疾患

子宮腺筋症・子宮内膜症などについても症例によっては対象となり得ますが、エビデンスは蓄積途上であり、適応は慎重に判断します。病気の種類・大きさ・過去の手術歴などによって適応が異なりますので、必ず外来でご相談ください。

手術の特徴

Q. vNOTESにはどのような特徴がありますか?
A.

従来の手術と比較して、以下のような特徴が報告されています(効果には個人差があります)。

  • お腹に目立つ手術創が残りにくい
  • 術後の痛みが軽減される傾向
  • 入院期間が短くなる傾向
  • 腹壁の手術創に関連する合併症が起こりにくい傾向

ただし、これらはすべての方に必ず当てはまるものではなく、患者さまの状態や術中所見によって結果は異なります。

Q. 入院期間はどのくらいですか?
A.

ご病気の種類や患者さまの状態によりますが、目安として1週間程度の入院となることが一般的です。経過によって変動しますので、外来および入院時に担当医よりご説明いたします。

Q. 仕事や家事への復帰時期の目安は?
A.

個人差がありますが、デスクワークなどの軽作業は術後2週間程度、力仕事や激しい運動は術後1か月程度を目安とすることが多いです。実際の復帰時期は外来での経過観察をふまえて担当医が判断いたします。

安全性・注意点

Q. vNOTESは安全な手術ですか?
A.

vNOTESは近年、国内外で実施報告が増えている手術方法です。当院では十分な内視鏡手術の経験を持つ医師が担当し、適応を慎重に判断したうえで実施しております。

ただし、比較的新しい術式であり長期成績については今後の検討課題もあります。すべての手術と同様に一定のリスクが伴いますので、事前に詳しくご説明したうえで同意をいただいて実施いたします。

Q. 起こりうる合併症にはどのようなものがありますか?
A.

他の婦人科手術と同様に、以下のような合併症が起こる可能性があります。

  • 出血、輸血を要する場合
  • 感染(創部・腹腔内・尿路など)
  • 周辺臓器(膀胱・尿管・腸管など)の損傷
  • 麻酔に伴う合併症
  • 血栓症(深部静脈血栓症・肺塞栓症など)

また、手術中の状況により、従来の腹腔鏡手術や開腹手術へ術式を変更させていただく場合があります。詳細は手術前に担当医より十分にご説明いたします。

Q. 誰でもvNOTESを受けられますか?
A.

以下のような場合は適応とならないことがあります。

  • 悪性腫瘍が疑われる場合
  • 腟が極端に狭い方
  • 骨盤内の癒着が強く予想される方
  • 腫瘍が非常に大きい場合
  • その他、医師が適応外と判断した場合
  • などです。

診察と画像検査の結果をもとに、患者さまに適した手術方法をご提案いたします。

Q. 出産経験がなくても受けられますか?
A.

出産経験のない方でも適応となる場合がありますが、腟の広さや骨盤内の状態などにより判断が必要です。診察のうえで個別にご相談させていただきます。

手術後の生活

Q. 術後の痛みはどの程度ですか?
A.

腹壁に切開を加えないため、開腹手術や従来の腹腔鏡手術と比較して術後の痛みが軽減される傾向が報告されています。ただし痛みの感じ方には個人差があります。当院では適切な疼痛管理を行い、できる限り苦痛の少ない経過となるよう努めております。

Q. 術後の性生活への影響はありますか?
A.

腟内の手術創が治癒するまでの一定期間(目安として術後3か月から6か月程度)は性交渉を控えていただく必要があります。期間には個人差がありますので、退院時および外来診察にて担当医より具体的にご説明いたします。

Q. 術後の通院はどのくらい必要ですか?
A.

退院後、1か月後・3か月後を目安に外来診察を行います。経過によって通院間隔は変わることがあります。経過が安定したのちは、定期検診へと移行いたします。

受診について

Q. vNOTESを希望する場合、どうすればよいですか?
A.

当院は「紹介重点医療機関」として、地域の医療機関と連携した診療体制をとっております。そのため、受診をご希望の場合は、かかりつけ医など他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちのうえ、婦人科外来をご予約ください。

紹介状をお持ちでない場合は、選定療養費(初診時定額負担)が別途必要となります。あらかじめご了承ください。

診察・画像検査・血液検査などを行ったうえで、vNOTESの適応となるかを担当医が判断いたします。

Q. 手術費用や保険は適用されますか?
A.

対象疾患・術式に応じて健康保険が適用されます。高額療養費制度などのご利用も可能です。具体的な費用につきましては、診察内容により異なりますので、外来または医事課窓口へお問い合わせください。

vNOTESの対象疾患

Indications for vNOTES Surgery

 
 
良性疾患

子宮筋腫

子宮の筋肉から発生する良性腫瘍。経血量の増加や月経痛、貧血、圧迫症状を引き起こし、vNOTESによる子宮全摘術や筋腫核出術が選択肢となります。

vNOTES子宮全摘術
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骨盤底疾患

骨盤臓器脱

子宮・膀胱・直腸などが腟から脱出する疾患。vNOTESによる子宮全摘術や腟断端挙上術、仙骨腟固定術が選択肢となります。

vNOTES子宮全摘術 vNOTES腟断端挙上術
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上記は代表的な対象疾患です。患者さまの状態によって適応可否が異なりますので、詳しくは外来でご相談ください。